【成果報告編】KANMON YELL プロジェクト「下関駅前マーケティング報告会 〜『いま』と『これから』〜」に参加しました!
INDEX
中小企業連携協同組合 Shingari が主催し、株式会社リージョナルマネジメントが企画運営している「KANMON YELL プロジェクト」が昨年から実施してきた 下関駅前 のにぎわい創出に関するアンケート結果と位置情報データを分析したマーケティング調査の成果報告会が2025年9月17日に 下関大丸7Fの JOIN083 で開催されたので参加してきました。

※ 以下で紹介している調査結果は、KANMON YELL の 公式Webサイト から、下関駅前エリアにぎわい創出に向けたアンケート調査ダッシュボード にアクセスしてご覧いただけます
概要
中小企業連携共同組合Shingari
中小企業連携共同組合Shingari は、マエダカイロプラクティック彦島整体院の院長 前田 誠一郎 さんが理事長を務める事業協同組合で、経営に関する勉強会や交流会等を開催するなど、組合員間での情報交換などを積極的に進めるほか、野球チームの北九州下関フェニックスやサッカーチームのFCバレイン下関の「市民球団化」という、スポーツを軸にした にぎわい創出 も考えている、かなりアクティブでエキサイティングな団体です。
調査の概要
今回の調査は、Shingari の 「KANMON YELL(関門エール) プロジェクト」の一環として 2024年の 11月16日から2025年1月11日の間に実施された 下関駅前のにぎわい創出 に関するアンケートの結果と、スマホの位置情報から取得された人の移動データを収集したものです。
これらのデータは、CCC(Culture Convenience Club) MKホールディングス株式会社が分析し、今回のイベントでその成果を発表することとなりました。
CCCMKホールディングス株式会社
分析を担当した CCCMKホールディングス株式会社 は、Vポイント(旧・Tポイント)を運営していたり、書籍などを扱う TUTAYA や、県内では周南市で図書館を運営していたり、書籍の出版なども手がけている企業です。
今回の成果報告には CCCMKホールディングス株式会社 の 大山翔平さん が登壇されました。
アンケート調査報告
下関市の現状
アンケート調査結果の報告に先がけて、下関市の現状について説明がありました。
下関市は、人口減少・高齢化の深刻な中核市であることは様々な場面で話されていますが、人口や消費(商業施設等)は市南部に集中している一方で、観光地は市内各地に分散しているという特徴があります。
このことから、今後のまちづくりにおいては、「地域拠点×中域連携」がポイントとなってきます。
この拠点の中でも特に重要となるのが 下関駅エリア で、今回の調査の対象となりました。
今回の調査は 令和6年度まちなかにぎわい創出プロジェクト推進事業 によって実施され、アンケート調査では 956 UU(ユニークユーザー)、位置情報データは 25274 UUのデータが収集されています。
下関駅前エリアの現状の にぎわい について
下関駅前エリアの にぎわい創出 と言っても、まず「にぎわい」ってなに?なにをもって「にぎわっている」とするの?ということから、今回の調査では「にぎわい」は以下のパラメータから分析されました。
- 駅利用の満足度
- にぎわい指標(来訪率、消費金額、来訪日数、滞在時間)
下関駅の利用に関する満足度は5点満点中 3.01 で、最も多い回答は「どちらとも言えない」の 43.8% だったそうです。
ちなみにその他の回答は、「満足」…7.8%、「やや満足」…34.3%、やや不満…11.2%、不満…2.9% で、回答に男女差はほぼなかったものの、若い世代でやや低めの満足となっていたそうです。
下関駅エリアへの来訪率は、海峡花火 や 馬関祭り など、イベント実施の週には上昇していたそうで、全体としての にぎわい指標 は 4.27 という結果でした。
下関駅前エリアを近隣の他エリア(新下関、唐戸、東部、門司港、小倉)と比較すると、消費金額 と 滞在時間 についてはやや低い傾向にあります。
消費金額は ゆめシティ などのある 新下関エリアが高く、来訪率は 小倉エリア が高いという結果が出ています。
また、下関駅前エリアには誰と訪れるか、という質問への回答には、「家族」「ひとり」がそれぞれ50%前後となってツートップを形成していました(回答数 811)。
(ちなみに、おそらく複数回答アリの質問となっていると思われます)
さらに、下関駅前エリアへアクセスする交通手段としては 車…64.2%、電車…35.2% で(回答数 358)、駅前エリアであるにも関わらず、2/3の人が車で来ているという実態も見えてきました。
下関駅前エリアを訪れる目的としては、「買い物」が最も多く、内訳は シーモール…44.7%、大丸…26.3、ランチ…26.3% となっていました。
また、面白いデータとしては、位置情報データから観測された施設間併利用状況がかなり細かく出されていました。
例えば、下関駅拠点とすると(下関駅に着いたらそこからどこへ行っているか)、大丸に行く人が 51.4% といった感じで、他にも新下関エリアから下関駅前エリアへの移動が何%…といった具合に、いわゆるビッグデータから導かれる興味深いデータが並んでいました。
ちなみにそこから見えてきた、小倉駅利用者は下関駅を訪れているわけではない(7.2%) というデータもありました。
下関駅前エリアを訪れる時間帯としては、やはり9時から17時の人通りが多いという傾向があり、反対に21時から23時は少ないということも読み取られました。
下関駅前エリアのにぎわい調査からわかったこと
- 利用者層:40代から50代の男性が多い → 女性・若年層向けのコンテンツに乏しい
- 利用目的:買い物・飲食 → 単価の低い日常の買い物が多い
- 時間帯:9時〜17時 → 駅と周辺の商業施設・飲食店連携ににぎわい創出の余地あり
にぎわい創出における課題とニーズ
満足層・不満足層の分析
- 満足層の方が来訪回数、滞在時間ともに低い
- 月11回以上のヘビーユーザーは不満層に多い
…ということから、下関駅前エリアをよく使ってる人ほど 満足していない ということが見えてきます。
ニーズ×満足度
縦軸にニーズ、横軸に満足度をとったグラフに、「インフラ」「イベント」「観光・その他」のカテゴリの様々な例をプロットした図が提示されました。これによって回答を
- 「ニーズが高くて満足度が低い」… みんな欲しいけど今は足りない = 要改善
- 「ニーズも満足度も高い」 … みんな必要としているし、すでに十分にある = 充足
- 「ニーズが低い」 … みんなそれほど必要としていない = 低優先度
という風に仕分けすることができます。
そうすると、全体的に イベント関連 の満足度が低いということが分かりました。中でも最もニーズが高かったものは「食イベント」でした。
また、ニーズも満足度も高い(=充足している)項目はありませんでした。
地元スポーツ球団を通じたエリア活性化
Shingariの目標のひとつが、北九州下関フェニックス と FCバレイン下関 を通じた にぎわい創出 ということで、これらの球団に関するテーマでの分析もされていました。
これによると、回答者の半数以上が両球団を認知している一方で、実際に観戦したことがある人は少なく、この観戦経験の少なさがハードルとなりそうと考察されていました。
ちなみに、観戦のハードルとなっているのが、
- インフラ的な不便さ(チケットが高額、試合会場へのアクセスが悪い、駐車場が不便、飲食の価格が高い)
というイメージのようです。しかし「スポーツ観戦に興味がない」という人は少ないので、これらのハードルをクリアできれば、観戦したいという人も増えるかもしれません。
ちなみに、両球団に関わらず「応援しているスポーツチームがある」と回答した人は 40% で、スポーツに関する情報取得源としては インターネット よりも テレビ の方が高いようでした。
また、国際試合を行うような、国際色のあるチームに興味を持つ特徴も見えました。
とはいえ、やはりスポーツ観戦には「試合内容が面白い」「勝つことが多い」という、スポーツ観戦の醍醐味とも言える要素は不可欠です。
そのうえで、「スタジアムの設備が充実している」「子どもたちとスポーツを通じて交流する」など、インフラや付加的な要素も重要になってきます。
下関駅前エリアににぎわいを創出するには
上記の調査結果から、下関駅前エリアににぎわいを創出するためには、まずは下関駅の
「駅としての基本機能」
を強化することが重要と考察されていました。交通の便利さに加え、買い物や滞在できる場としての機能をアップデートすることが第一ということです。
そこから+αの要素として、「食のイベント」や「音楽イベント」など、日常生活の拠点だけでなく、「わざわざ」行きたくなるようなコンテンツを付加していくことが続きます。
さらに「ここならではの特色」をつくるための材料として、北九州下関フェニックス や FCバレイン下関 などのスポーツのコンテンツを追加することで、下関駅前エリアを「下関の顔」として特徴づけることができる、というまとめとなりました。
トークセッションへと続く…
以上の調査報告があって、後半のトークセッションへと続きます。
【トークセッション編】KANMON YELL プロジェクト「下関駅前マーケティング報告会 〜『いま』と『これから』〜」に参加しました!
結果だけを見ると、なんだか「そんなことは分かってたよ」と言いたくなるかもしれませんが、研究者の端くれとしては、ビックリするような新発見がなかったとしても、これまで肌感覚で「下関駅前エリアってこうだよね」「こういうところが改善されるべきだよね」と話されていたことに、データというエビデンスが加わった、ということが重要であって、このデータの前には、「きっとこうだろう」という「あなたの感想」は決してかないません。
さぁ、このデータをもとに、市長をはじめトークセッションの登壇者の皆さんはどんな下関駅前ビジョンを描くのか…
乞うご期待です!