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【トークセッション編】KANMON YELL プロジェクト「下関駅前マーケティング報告会 〜『いま』と『これから』〜」に参加しました!

INDEX

  1. トークセッション
    1. 前田市長のコメント
    2. 食のイベント
    3. 安全・安心のナイトタイム
    4. スポーツを軸としたにぎわい創出
    5. 下関駅周辺エリアの改革
    6. まとめ
  2. 感想

成果報告編↓の続きです!

【成果報告編】KANMON YELL プロジェクト「下関駅前マーケティング報告会 〜『いま』と『これから』〜」に参加しました!

トークセッションでは、トークの展開から、同じテーマについて何度か語られることがありました。この記事では、トークの時系列の流れを多少前後して、テーマごとに整理してお伝えしようと思います。

トークセッション

というわけで、成果報告会に続いてトークセッションが始まりました。
登壇者は下記の4名です。

  • 前田晋太郎 下関市長
  • 前田誠一郎 中小企業連携共同組合Shingari 理事長
  • 和田健資 下関観光コンベンション協会 副会長
  • 北尾洋二 株式会社リージョナルマネジメント 代表取締役(ファシリテータ)

前田市長のコメント

前田市長は成果報告会が始まるまでは「(成果報告会は)公開処刑(のような展開)になるのかな…?」と心配をされていたそうです。
なので、現状の把握と建設的な今後の課題が提示されたことに安堵されたようでした。

人が集まるエリアにするために

前田市長は成果報告の中で「食のイベント」に対するニーズが高かったことに、「食のイベント、結構やってると思うんだけど、足りないかな?」と首を捻っておられました。

これについては、前田市長が堀江貴文さんに会われた際にこう言われたそうです。

人を集めるためには、イベントを絶えず打ち続けなければならない。にぎわいをつくり続けるのは本当に難しい。京都ですらずっとやり続けてる。イベントが止まると人も止まってしまう。

なるほど…。
わたしなりに解釈すると、例えば月に週末の1日だけ下関駅前エリアを訪れる人がいて、たまたま毎回、その日がなにもイベントが開催されていない週末に当たっていたら、その人の下関駅前エリアに対する印象は、「楽しいことは何もやってないエリア」になるでしょう。

いつ来ても何か賑やかなことやってるね、というイメージが定着すると、

「今日ヒマだし、とりあえずシモエキ行っとく?」

という思考・行動になってくるのかな…と。

「でも毎週 馬関祭り やるわけにもいかないしな…」と前田市長が苦笑いを浮かべてつぶやかれたので、思わず吹き出しちゃいました。

食のイベント

ファシリテーターの リージョナルマネジメント・北尾さん から、今回の調査のデータ分析を行った CCCMK・大山さん に、「食」について下関駅前エリアと他の地域を比較した際の相違点について質問が投げかけられました。

大山さんによると、下関駅前エリアでも食のイベントは開催されているけど、満足度は低い という傾向があるそうです。これを受けた前田市長も、確かに下関駅周辺って、他県や他地域の大きな駅と比べると(飲食が楽しめる)店舗が少ないよね、とコメントしています。

わたしが勝手に「大手のファミレスチェーンやファストフード店などを除いて」というニュアンスを感じたので、「(飲食が楽しめる)店舗」という表現にしました。

ご自身が寿美礼旅館を経営され、下関の宿泊・飲食・観光関連業界をよくご存知の 下関観光コンベンション教会・和田さんも、下関駅前エリアを「お店を出しづらい」地域であると分析します。店舗の価格、土地の価格、駐車場の借りにくさ…などなど総合すると、飲食店を出店するハードルは高いとのことです。

食材や提供される料理のグレードも、高級なものからB級グルメまで様々ありますが、各種それぞれ出店したとして、はたして毎日お客さん来るだろうか?という懸念もあります。

Shingari の 前田理事長 は、下関駅前エリアの「食」に関する「良いところ」や「改善点」について問われると、「良いところ」を端的に表現することは難しいとし、飲食店の営業が終了する時刻が早いという点と、飲食店のある通りが暗いという点を指摘されました。
明るい照明で、通りに人が行き交っていれば、安心して過ごせるまちになっていくのでは?というイメージだそうです。

安全・安心のナイトタイム

ここで話題は「ナイトタイムのにぎわい」にシフトしていきます。CCCMKの大山さんは、これまでにお話を聞いたことのある、ナイトタイムに力を入れている業者さん曰く、ナイトタイムのにぎわいを創出するためには「安心・安全なナイトタイム」というビジョンは絶対に必要である、と言います。市としてナイトタイムの安全・安心の創出に取り組むことができるか、という点もひとつのポイントとなるようです。
ナイトタイムのにぎわいを創出する典型的なツールが「花火」だそうです。唐戸エリアでは割と頻繁に花火が上がっているイメージがありますが、花火を見物するために多くの人が集まると、まちも活気づくし、飲食店の売り上げも向上し、一部犯罪の抑止にも効果がありそうですね。

下関駅周辺から豊前田、唐戸まで、飲食店が点在している下関の特徴から、「回遊性」というキーワードもよく用いられています。食べ歩きや飲食店の「ハシゴ」をテーマとしたイベントもよく開催されていますが、ナイトタイムの回遊性についてはどうでしょうか。

この点について前田市長は、「通りを明るくしたら人が来るか」というと、現状から考えると下関は厳しい状況になってきているとおっしゃっています。もちろん「通りが明るい」ということも人が訪れるひとつの要素ではありますが、そこにあるお店の魅力など、複合的な要素について考える必要がある、ということです。

ここで注目されるのが、星野リゾートが展開している「リゾナーレ」がいよいよ下関のあるかぽーとエリアで12月にオープン予定であることです。リゾナーレ下関 には187の宿泊室があり、約600人が宿泊可能ですが、ホテル内で食事に対応できる人数は最大で約400人なのだそうです。
そうすると、毎日入れ替わりで最大200人の宿泊客がホテルの外で食事をとるために出かけていくことになるわけで、これは大きなチャンスになります。

実はわたしは「星野リゾートが下関にオープンしても、下関にお金が落ちるわけではなくて中央に吸い取られるだけじゃないか」と考えていたひとりだったのですが、こういう需要が発生するのであれば、飲食店にとっては救世主となりえます。

スポーツを軸としたにぎわい創出

前田市長は、北九州下関フェニックス と FCバレイン下関 がシビックプライドにつながっていくと良いな、と考えておられるそうです。

これは、球団をただ税金で応援していくということだけではなく、例えば広島駅に到着した瞬間から感じる「カープ一色!」のように、下関駅前エリアを盛り上げるコンテンツとなるレベルまで、フェニックスとバレインを押し上げていくというイメージです。

例えば、Shingariの前田理事長は「下関駅前にグッズ販売所があればいいな」と語ります。たくさんのロゴやキャラクターが最も人通りの多いところで目に触れられることで、市内外で球団の認知度をアップさせる効果があります。

観光コンベンション教会・和田さんは、「FCバレイン下関が現在メインで試合を行なっている乃木浜公園の競技場には、毎試合1000人以上の観客が来場している」とおっしゃいます。乃木浜公園にはサッカーのグラウンドの他にもテニスコートやグラウンドゴルフ場、野球場もあるので、複数の種目で一斉に来場者があると、駐車場などのキャパシティが飽和してしまうほどだそうです。

ここで例えば両球団のジュニアチームなどができると、それぞれのカテゴリで試合が増える…試合が増えると来場者が増える…そして宿泊も増える…飲食店もにぎわう…と、数珠繋ぎに経済効果が起きることが期待されます。これがスポーツを軸としたにぎわい創出のねらいです。

ここでCCCMKの大山さんが他地域のスポーツによるにぎわい創出の事例として、「“北の方の話題の球場”は、家庭の団らんをそこで再現したいというコンセプトでデザインされたそうですよ…」と奥歯にもののはさまったような表現で語り始めました。

つまり、リビングのテレビでお父さんは野球を観戦していますが、興味のないお子さんはゲームに興じ、お母さんはスマホでSNSをチェックしている…

これでは「家族団らん」とは言えないかもしれませんが…野球に興味のある人もない人も、同じ空間でそれぞれが楽しむことができる、ということです。野球場でありながら、食のイベントが開催されていて、ビールと一緒に楽しめる。キッズエリアがあって子どもも遊べる、デイキャンプと組み合わせたイベントもある…というような、野球を軸に複合的な楽しみを提供するわけですね。

前田市長「それで、ファイターズを応援する…と」

会場一同、「言っちゃった!」と爆笑です。

前田市長は、くだんの球場について「オービジョンスタジアム下関のように、下関駅からは歩いて行けない、新下関駅からでもバスを利用してようやくアクセスできる…みたいな郊外の立地だけれど、あんなににぎわってるんだよね」と評価します。

前田市長は、長崎県で行われた会議に出席された際に、長崎スタジアムシティを視察されたそうです。長崎スタジアムシティは、ジャパネットグループが1000億円を出資して実現した施設です。
下関でも、出資してくださる企業があればつくれるそうなのですが…(??)

前田市長は、これからの下関市内の公共の施設は「白っぽい施設」をつくるのをやめよう、という方針だそうです。その分かりやすい例としては、安岡の やすらガーデン です。やすらガーデンはそもそも「下関市役所の支所が移転した」だけなのに、ものすごい数の人が集まっています。
公共の施設を新しくつくる、つくりかえるのであれば、何かそこに人が集まる、楽しむことができる仕掛けを付加しよう、という方針には、わたしは強く共感しています。

話は 北九州下関フェニックス と FCバレイン下関 に戻りますが、前田市長いわく、市としては両球団に対し、直接的にはプレイヤーを確保する支援を行い、間接的には少なくとも20年は球団を運営していけるような環境を、下関駅前をはじめとした各エリアで整えていくとのことです。
(「アッ、新下関駅もやらないとね…!」ともおっしゃってました)

下関駅周辺エリアの改革

前田市長が8年前に市長に就任したとき、

  • あるかぽーと へのホテルの誘致
  • 市の体育館の改修
  • 火の山エリアの整備
  • 市役所庁舎の建替え
  • 下関駅前の再開発

などなど、下関市は巨大な課題をいくつも抱えていました。
下関駅前エリアについてはシーモールの建替え案がありましたが、これについては ニトリ や 東急ハンズ に入ってもらって、様子をみましょうということになったそうです。
しかしそれでは追いつかなかった、というのが現状の見立てです。

上記の大きな課題の中で、「下関駅前の再開発」以外の課題は片付いてきたので、いよいよ下関駅前に取り組める状況になってきたそうです。

そんな中で前田市長から、2025年3月の市長選を迎えるにあたり、独断で公約を修正したという衝撃的な発言が飛び出しました。

その結果、記者会見では記者から、会合等では市民から「なんでシーモールを勝手に壊そうとしているんだ」「人工地盤を壊してどうするんだ」とものすごくツッコミを喰らうハメになったそうです。

当時、突然これを聞いた人たちはさぞかしビックリしたことでしょう。
でも今回のイベントの参加者は、ここまでの前田市長の想いや熱意を聴いているので、概ね皆さんが、今だから笑える痛快なエピソードとして捉えられているようでした。

前田市長の持論としては、「まちづくりは『生きているうち』にやるから意味がある」ということだそうです。
例えばシーモールの再開発にしても、完全に廃墟になってしまってから着手していたのでは間に合わない、ということです。それならもっと早い段階で方向転換を図った方がいい。

確かに、止まった車のハンドルを切ってももう動きませんが、止まりかけている車なら、ハンドルを切れば進行方向が変わる。その変わった先に加速装置があるかもしれない。これは下関駅前エリアに関わらず、まちづくり全般に言えることだな…と感銘を受けました。

ところで、下関駅周辺の土地は、驚くほど地権者が少ないのだそうです。
そのため、大規模な再開発を進めようという場合でも、地権者との調整の労力は少なくて済むそうです。
また、法令や都市の計画など諸々の条件から、港湾エリアは道路などを比較的自由に動かすことのできるエリアだそうで、様々なアイデアが実現しやすいのだそうです。

関釜フェリーターミナルが下関駅とつながったら…?
市内に5つある大学が下関駅前に集まったら…?
サッカースタジアムが下関駅前にできたら…?

みたいな、ワクワクするようなアイデアも、しっかり計画して条件が整えば、実現できる可能性があるということだそうです。

この「可能性がある」ということを市長の口から明言してもらえることって、まちづくりの活動をしている市民としては非常にモチベーションが上がるんですよね。

まとめ

トークセッションもいよいよクロージングに向かいます。

Shingari・前田理事長は、中小企業連携共同組合Shingari を立ち上げたかった理由として、既存の若手・ベテランの経営者が所属する団体などの定例会でも「勉強会」はあるんだけど、半分はゴルフや飲み会…という状況だったので、それよりもそれらの団体の本来の設立目的であるはずの、それぞれのスキルが上がるようなことをやりたい、と考えたことを話されました。

その一環としての、今回の下関駅前エリアのマーケティングということですので、きっと今回のイベントに大きな手応えを感じられていることでしょう。

リージョナルマネージメントの北尾さんは、これまでの時間を振り返って、駅前というエリアなら、何か目的があって「わざわざ」訪れるというだけではなく、通勤・通学などの日常での利用のなかで「たまたま」出会うコンテンツもある、という点を強調されました。
そしてこの「たまたま」の規模は下関なら下関駅が随一であることは明確です。この下関駅前エリアで開催していくイベントなどのコンテンツの質を上げていくことは重要になってくるだろう、と見立てられました。

この点についてCCCMKの大山さんは、「たまたま」をどうやって「わざわざ」にするのかというマーケティングが重要であると話されました。

例として長崎県を挙げられ、歴史・食・テーマパークもある長崎県では、「何」を「誰」に当てると「たまたま」が起きるのか、という点を悩んでいた、ということを紹介されました。
例えば長崎には キリシタンの歴史 がありますが、これをコンテンツにして、誰をターゲットにすると人が集められるか。「たまたま」1回来てくれた人たちが、どうやったら「わざわざ」きてくれるようになるのか…という議論があったそうです。

観光コンベンション教会の和田さんは、下関駅周辺の自治会で自治会長をされています。下関駅周辺のエリアには古い建物も多くて、耐震・防災の面での懸念があるそうです。

和田さんは、ナイトタイムのにぎわい創出の話題で、通りを明るくするという話にも言及されました。お店が集まると、店舗から漏れる灯りで通りは明るくなります。しかし、街灯を立てるとなると、その費用は自治会費で出さなければならないというのが現状の仕組みだそうです。そうすると、自治会に人がいないと街灯を立てることもできないわけです。
しかし、「高齢化だから」「人がいないから」できない、では済ませられない状況でもあります。

このようなジレンマの中で、あるかぽーとに リゾナーレ下関 がオープンすることはやはり大きなチャンスです。1日の宿泊者数は最大で600人だとしても、1ヶ月単位で考えると数万人の規模で宿泊者がいるわけです。これをいかに地域のにぎわい創出につなげていくのか、が課題になってきます。

最後に前田市長から、「3期目の花火」として、掲げた公約には「言った責任」がある。ここで最大の山場となる、下関駅エリアをやっていく。という力強い言葉が発せられました。
例えば下関駅前に新たな商業施設をつくるにしても「コスメショップやセレクトショップが新しい施設に必要なのか」という議論、そもそも「商業施設よりも公園にするべきだ」と言う人もいるそうです。

ただ、今回のイベントに参加された前田市長が思われたのは、

ブランド品を詰め込んだ建物ではない。やっぱり食なんだろうな。

という方向性だったようです。地域の特産が食べられるとか、昼飲みができるとか、様々な層に喜ばれるような「食」を中心とした構想です。

感想

今回のイベントに参加したことで、まちづくりの研究者として、「データに基づいたまちづくり」、データの持つ説得力を改めて感じました。

また、まちづくりのプレイヤーとしては、ひとつひとつの小さなイベントでも、それらを単発で考えるのではなくて、次に打とうとしているイベントや、他地域で行われているイベントとのつながり、目指しているまちづくりとの関連性、もっと言うと下関市のにぎわい創出につながるストーリーまで意識して企画・運営していくこと、またその効果測定までしっかり行なって、PDCAサイクルを回していくことが重要なのだ、と考えました。