「夢授業」は田舎でこそ尊い…!子ども達の「夢」に見る地域の差
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※アイキャッチ画像は、キャリア教育研究会 様のFacebookページ(下記埋め込み記事)より頂戴しました。いつも素敵な瞬間を切り取っていただき、ありがとうございます!
夢授業
昨年度から、キャリア教育研究会 さんが主催している「夢授業」に参加しています。
夢授業ってなに?
夢授業は、小学校・中学校 に「職業人」と呼ばれる社会人を 20〜30名招き、児童・生徒は興味のある職業人を回って「職業」について話を聞く、というイベントです。
これは、「弊社はこのような会社で、このような事業を展開しており〜」みたいな、大学の就職説明会チックなものではないし、教室に大人が来て「パン屋さんの仕事は、朝早くから仕込みが始まって〜」ってお話を聞く「職業講話」チックなものでもないんです。
1ラウンド15分を5回繰り返す中で、職業人のブースの前に集まってくる児童・生徒に対して、職業人は自らの仕事について話すのは職業講話と同じですが、職業に対する「想い」や「こだわり」、その職業に就くに至ったいきさつなども含めた人生そのものだったり、これから児童・生徒に大切にしてほしいことだったり、幅広くお話をします(しているようです)。
職業人は、「職業を紹介しにきた人」ではなく、「職業を通して叶えた夢や、これから叶えようとしている夢、そのために努力していること、『やっときゃよかった』って思ってること」などなど、「夢」をキーワードに熱く語るんです。だから「夢授業」…とはキャリア研究会さんのWebサイトには書かれていませんが、ドンピシャなネーミングだよな、と思ってます。
ちなみにわたしが参加したのは、下関市立豊北中学校で開催された回です。豊北中学校は、わたしの母校を含む町内4つの中学校が統合してできた町内唯一の中学校なので、知っている生徒も多いし、職業人も地元の人がチラホラ見受けられます。
ちなみにシンは夢授業でどんな話を?
わたしは、「大学事務職員・大学院生・まちづくりの人」という3つの職業(「大学院生」や「まちづくりの人」は職業なのか?という疑問もありますが…)を掲げて参加し、各回3〜4人の生徒さんに「豊北町で想い出をつくろう!そして世界に飛び出そう‼︎」をテーマにお話させていただきました。
20枚のスライドを使って、
- 田舎コンプレックスの少年時代
- 徳山高専入学で田舎脱出
- ジュニアリーダーに打ち込んだ学生時代
- 寮生のノリと留学生との国際交流
- ハワイ研修旅行の感動
- P&Gで体験した外資系企業と関西のノリ
- ワーキングホリデーで知ったカルチャー
- 旅行会社勤務を経て大学事務職員へ
というような流れで話し、子どもたちには
今、豊北町を楽しみ尽くしてほしい!そして世界(それぞれがホームタウンと捉えているエリアの外)に飛び出して、世界と比べて豊北町の良いところ、もっと頑張ってほしいところを考えてみてほしい‼️
という思いを伝えて締めくくりました。
生徒たちの夢授業でのリアクション
5ラウンドのセッションを行っている間は、生徒たちのリアクションっていっても、わたしのところに来てくれた子たちの様子しか分かりませんが、基本的にみんな熱心に話を聴いてくれます。
わたしは「職業」についてはほとんど話さないし、スライドにありがたい言葉も書いてなければメモを取るような内容でもないので、生徒さんたちが椅子に座って前のめりに構えて、クリップボードにペンを押し当てて準備している、そして真剣そのものという表情を浮かべている、という様子に、かえってなんだか申し訳ないな…って気持ちになっちゃいました。
そんでまた15分ギリギリまで喋って喋って喋りアゲるもんだから、生徒さんに質問する余裕すら与えてあげられなかったことは反省です…。
5ラウンドのセッションが終わると、全員が集まって、何人かの生徒さんが、特に印象に残ったお話を、みんなにシェアする時間がもたれます。
「『コーチング』をしておられた方は、人の夢をサポートする仕事で、素晴らしいなと思いました」
「『デザイナー』の方は、小さい頃から大好きだった絵を続けて、職業にしているのがすごいな、と思いました」
のような感想をみんなに発表するんですが、全校生徒に向けて、自身の「これがすごいと思った」「こうなりたいと感じた」を発表するのはなかなか勇気のいることです。司会者の呼びかけにスッと応じて堂々と発表した生徒の皆さんの姿に、わたしたち職業人も大いに刺激を受けました。
そして自分のことをシェアしてもらった職業人さんは、シェアしてくれた生徒さんへの感謝の言葉とともに、「わたしのところでは、生徒の皆さんに、夢を諦めないことの大切さをお話しさせてもらいました…」みたいな、5ラウンドお話されたことのエッセンスを紹介するというのがクロージングのセットです。
この時はじめて、わたしも他の職業人さんが、こんな話しされたんや〜、ってちょっとだけ知るわけです。だから、先述の「夢授業ってなに?」では、「(職業人は)〜幅広くお話しします(されているようです)」って書き方になってるんです。
クロージングでは他に、「最も身近な職業人」として、開催している中学校の先生が最後にお話をして締めくくりとなります。
今回は昨年度まで大阪で警察官をしておられたという先生が、警察官になった経緯、そこから教師になった経緯、生徒たちに望むこと、などのお話をされました。「時計の針は戻すことができないから毎日を一生懸命生きよう」という熱いメッセージが込められていました。
夢授業は反省会(二次会)がまた熱い
夢授業を終えた生徒たちを、職業人が花道を作って体育館から送り出したら、職業人で時間の許す方は残って反省会的なことをします。
イメージしやすいように用いましたが、実際「反省会」ってネーミングは適切ではない気がします。
むしろ「二次会」ぐらいの感覚です。
なにしろ、わたしたち職業人も夢授業を終えてテンション上がってるし、お互い想いもあふれて言いたいこと、シェアしたいこと、気になることがいっぱいあるし、「地域の子どもたちのためになにかしたい!」という大人が一堂に会して盛り上がるという、極めて貴重な時間なんです。
二次会(もう二次会でいいや)では、職業人が車座に座り、改めて自己紹介します。
そして、自身がどういうお話をしたのか、それに対して生徒さんの反応はどうだったのか、などの情報の共有を図ります。
中には、職業人として何度も夢授業に参加されている人もおられるので、他の学校と比べて豊北中学校の特徴を話してくださる方もいて、地元を客観的に知る、日頃なかなかない、良い機会になります。
豊北中学校の生徒の特徴
二次会でのお話によると、豊北中学校の生徒は、旧下関市街の比較的大きな中学校の生徒と比べると、純粋でとても素直という印象を、職業人の皆さんは共通して受けられたようです。
全体が集合した時には前に出て話をする先生や職業人の方に椅子ごと身体を向ける姿勢や、各ブースでの話を聴く態度、一生懸命にメモをとる姿勢、クロージングでの発表など、豊北中の生徒の態度について、職業人は口を揃えて褒めておられました。
ただ、少し消極的というか、シャイというか…。
積極的に質問するとか、話に対するリアクションをとるとか、グイグイくる感じの生徒が少なかったという感想も多く聞かれました。
このふたつの感想には「なるほど…」と目を閉じて大きく頷くしかありません。
豊北町の子ども の特徴を非常によく表しています。これらこそこれからの ひとづくり のヒントというか、豊北町の子どもたちの 伸ばすべきポイント、改善していくべきポイントそのものだと思っています。
素直でピュア、だけど自信にあふれ、人を想いやる子
豊北町の子どもたちは、こんな風になれる素質がハミ出るくらい詰まってます。
あとは、どうやってそれらを引き出し、伸ばしていくのか…
ここに、家庭や社会の力が不可欠になってくると思うから、わたしは日々奮闘しているわけです。
豊北中学校での夢授業の意味
先生方や豊北中学校の関係者の皆さんから、こんなコメントがありました。
「豊北町の子どもたちに、教室で『将来の夢』を書かせると、本当に数えるほどの職業しか挙がらない」
「世の中にどんな職業があって、どんな大人がいるのか、想像もつかない子どもが多い」
なッ…なんやてェ…ッ!? なにその、「豊北町の子どもは世間から切り離されています」ってくらい衝撃的な事実…!
…でッ、でも…イヤ、落ち着け、そうか…確かにそうかも。
例えば、豊北中の生徒には、きっと生まれてから一度も電車に乗ったことがないっていう子って多分いると思います。
路線バスに乗ったことがない子はもっと多いと思うし、カラオケやボウリングに行ったことがない子、街でティッシュを配っている人を見たことがない子もいるでしょう。
事故現場に急行するパトカー、ビルのてっぺんで稼働するクレーン、プロスポーツ選手、繁華街の呼び込み、デカい郵便局、ホテルのフロント、ラジオの公開録音…
見たこともなければそこで働く人の苦労も生き生きとした様子も想像することができません。
そもそも豊北町では、親・学校の先生以外の大人と接する機会すらほとんどないんです。
わたしは子どもの頃、学校から帰って外に遊びに出ると、船乗りだった近所のオィサンが休暇で家にいると、お寺の駐車場で焚き火なんかしていて、これまた近所の爺さんからサツマイモをもらってきて、焼き芋を焼いてもらって食べながら、オィサンの船での話を聞いたものです。ほとんどここに書けないようなヤバい話でしたが、公務員だった親父からは絶対に聞けない話に、ワクワクしながら耳を傾けていました。
もっと言うと、これは豊北町に限ったことではないでしょうけれども、「親の仕事が何なのかよく分かっていない」という子もいるようで、家族のコミュニケーションまで変わってしまった現代、さらにこんな田舎では、子どもが得ることのできる「職業」に関する情報って、そうかそんなに少ないのか…と改めてハラハラした次第です。
だからこそ、豊北中学校でのこの「夢授業」は本当に尊い。
ライフプランナー、訪問看護師、自衛官、刑務官…
わたしだってよく知らないような職業の方が一堂に会して、子どもたちに熱い職業の話をしてくれる。
これからはもっと、Society5.0 らしい、新しい職業だってバンバン出てくるだろうし、これまでの職業でも「働き方」は大きく変わってくるでしょう。
そんな社会で、豊北町のような田舎でも、子どもたちが視野を広げ、世界に目を向けることができる機会がある、っていうのは、繰り返しますが本当に尊い。
「夢授業」、これからも発展してほしいですね…!
職業人として参加してみたい方はぜひ、冒頭のFacebookページやリンクからコンタクトしてみてください!