関門カイギに見る未来の下関と理想のまちづくり
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2025年4月から、「関門カイギ」というイベントが立ち上がり、わたしも運営に関わらせていただいています。
今回はこの「関門カイギ」について紹介したいと思います。
関門カイギとは
“終わらない” 100人カイギ
「毎回地域で活躍するゲストが登壇して話をし、通算100人を達成したら解散する」というルールの「100人カイギ」が、下関でも「下関市100人カイギ」として 2023年8月 から開催されていたのですが、2025年6月15日に開催された第20回で100人目のゲストを迎え、大成功のうちに終了、解散となりました。
わたしも 20回開催された下関市100人カイギの半分近くに参加し、2024年1月の第6回にはゲストとして登壇させていただきました。
参加すると必ずなにか新しい出会いや学びがあり、ものすごい充実感のあるイベントでした。
主催の方とも仲良くさせていただき、よく語り合うようになりましたが、この素晴らしいイベントがいつか終わってしまう、というのが本当に淋しく、下関市100人カイギでできた「流れ」や「つながり」、「熱量」を引き継いだ、独自のイベントをなにかやりたいよね…っていう中で立ち上がったのが「関門カイギ」です。
ちなみに関門カイギでは、参加費1,000円/回(学生は無料)が必要です。
これは会場使用料等の経費のほか、参加者が自由に楽しめる飲み物やお菓子の準備などに充てられています。
関門カイギの内容
じゃあ 関門カイギ って、100人カイギ と何が違うの?ってところを紹介します。
関門カイギのコンセプト
関門カイギのコンセプトは以下のとおりです。
地域で活動するさまざまな方の話を起点に、クロスジャンルで人のつながりを生むプロジェクト
・地域で活躍する面白い人の話を聞く
・地域の人をつなぎ、ゆるやかなコミュニティを創る
・肩書きや属性ではなく、「想い」でつながる
このコンセプトを毎回のオープニングで紹介しています。
ゲストスピーカーを招いて、話を聴く、という基本的なスタイルは「100人カイギ」を踏襲していますが、各回でトークをしていただくゲストはこれまでのところ3名ずつです。
また、各ゲストのトークの時間も、「100人カイギ」と同じ 10分間 に統一しています。
この10分間というのは、聴く参加者サイドの感覚だと、「もう少し聴きたいな…」って思える長さなのです。
…が、ゲストサイドの感覚では、かなり短く感じます。特にわたしのような「あれもこれも話したい!」ってタイプの人間にとっては、トークの内容を絞り込むのに非常に苦労します。
「自分」の発信
100人カイギでもそうだったのですが、関門カイギも基本的にゲストトークのテーマやスタイルにしばりはありません。自身の仕事や活動を紹介してもいいし、考えや意見を主張しても、自身の半生を語ってもいい。Powerpoint等のスライドをプロジェクタで投影してもいいし、しなくてもいい。
このゲストトークのテーマの選び方や、発表のスタイルなども含めて、関門カイギでは、ゲストの「個性」よりもさらにひとつ大きなスケールで、ゲストそれぞれが「自分」というものを発信している感じがします。
もともと 人間が好き なわたしにとっては、これが本当に面白く、興味深いな…と感じる部分です。
本当に実直に、丁寧にスライドを作って、整然とご自身の活動を紹介し、聴いている参加者がゲストのことを確実に理解できるなァ…と感心してしまう方もおられるし、

さとしさんによる、期待しかないフリ…
「最も効率よく、出会いたい人と出会うことのできる手段は…」

ナンパ!控えめなサイズのフォントすら笑えてくる…!
カタパルトで飛び出すモビルスーツの勢いでカッ飛ぶ「アムロ行きま〜す!」スタイルのゲストもいます。
いずれにしても、ゲストトークは心にジワジワ染み込んだり、あるいはいきなりブッ刺さったりして、参加者の気持ちや考え方になにかしらの影響を及ぼします。
みんなで共有
3名のゲストトークが終わると、時間にもよりますが、質問や感想の共有などのクロストークを通して、印象の強かった部分の深掘りや、もう少し知りたかった部分の補完などを行います。
この時間も、例えば人それぞれにゲストトークの受け止め方や印象が異なったりして非常に興味深く、
「へー、わたしはこう感じたけど、若い人たちにはこんな風に捉えられたんだ…」
みたいな、自身の理解や考え方に深みをプラスすることもよくあります。
社会教育の流れ
もともと 関門カイギ の運営サイドに、”様々な” 教育関係者が多く、これまでの回では「社会教育」に関連づけることができるテーマがひとつの流れを作っていると感じています。
(わたしの研究テーマが 社会教育 や まちづくり だからわたしの中でバイアスがかかって勝手にそう解釈しているだけかもしれませんが…)
しかしこれはわたしにとっては非常に歓迎したい、応援したい流れでして…
「社会教育!」って聞くとなんだか堅いような、とっつきにくいような、面倒くさいようなイメージを抱く人も多いと思うのですが、これまでの関門カイギでは、
学校での「お勉強」(=学校教育)だけでは限界のある「生きる力」とか「人間力」とか表現される能力…「非認知能力」を育むために「社会教育」って大切だよね
というとっかかりから、特に「とにかく勉強して、いい成績とって、いい大学に行って、いい会社に入ったら、一生安泰で幸せになれるのよ」と言い聞かされてきた世代、子育て世代の皆さんが
「アレッ…? …確かに!!」
って、ちょっとでも考えていただくきっかけになったら、少しずつ行動する人が現れて、さらに乗っかる人が出てきて、「巷でウワサの」みたいな流れから、大きなムーブメントに変わっていくんじゃないかな…って期待しています。
一応 念のため、関門カイギは、「社会教育しばり」のイベントではない ので、ゲストはどなたでも、どんなテーマでもお話いただけます。
これまでのテーマのつながり・流れを知っている、下関市100人カイギ のコアなファンの方から、
「関門カイギはわたしにはあんまり関係なさそうじゃけぇ…」
ってお話を伺ったことがあったので、アッいえ、決してそんなつもりでは…! と弁解しておきます。
関門カイギの魅力
さぁ、では関門カイギの内容に続いて、関門カイギの魅力について紹介していきたいと思います。
ユルい(当社比)
関門カイギの立ち上げメンバーのほとんどが、下関市100人カイギの運営に関わっていました。
全国100ヶ所以上で開催されている100人カイギのパッケージを使用して運営されてきた 下関市100人カイギ は、そのパッケージに守られている部分もあり、パッケージにしばられている部分もありました。
そこで、関門カイギ では、先述のコンセプトと並んで、スローガン的に
ゆるくつながって、関門エリアって面白い! をシェアする
という文言を掲げ、「ユルさ」を全面的に押し出しています。
なので、ゲストトークも一応 10分間 というルールにはなっていますが、オーバーしたからといって終了を促すこともないですし、いかようにも現地で対応できるようにしています。
自由にアップデートできる
先の「ユルさ」とも関連してくる部分ですが、100人カイギ のような世界共通のパッケージがあるものではないので、毎回内容が少しずつアップデートされています。
例えば、ゲストトークの後のトークセッションは、ベースとなっているスタイルは 下関市100人カイギ の流れを踏襲した、ファシリテータがゲストトークを振り返りつつゲストとやりとりし、会場の参加者の理解を深めたり、話題を発展させるようなセッションを行うものでした。
わたしが登壇した第2回目では、会場に来ていた参加者にいきなりわたしから話を振ってみたり、他のゲストとファシリテータのトークに割り込んでみたりして、かなり自由にやっちゃいましたが、ファシリテータと会場の皆さんがうまいことまとめてくださる展開となりました。
こういう プロレス的 な、シナリオにないカオスな状態が起こるけど、かえってそれでキレイにまとまる、という面白さは、自由でユルい 関門カイギ ならではの面白さです。
「つながる」を演出・創出
そもそも運営サイドで、「関門カイギ、こうなったらいいよね」って語り合う中で出てきていたイメージが、
関門カイギのゲストの話にインスパイアされた参加者が、ゲストと、あるいはインスパイアされた複数の参加者同士でつながって、新しい試みであったりアイデアであったりが生まれる
っていう展開です。
ゲストのことはゲストトークを聴いて、ある程度どんな人でどんなことをやっている人なのかわかります。
でも、参加者同士の場合は、何度かこういうイベントで、なんなら 下関市100人カイギ の頃から見かけたことはあるけど、イベントの後のフリートークの時間に会話したこともないし、自分から話しかけるのもちょっと腰が引けちゃってできないから、どんな人なのか分からない…っていう状況は結構多いです。
そこで第3回から試験的に取り入れられているのが、
「1分間自己紹介」
の時間です。
ゲストトークの後の休憩時間に、参加者の椅子を車座に並び替えて車座にし、参加者全員にマイクを回して、1分間で自己紹介をしてもらうというコーナー。
強制ではないのですが、結構皆さん積極的に自身のことをお話ししてくれてて、わたし自身も「へー、あの人何度か見かけたことあるけど、こんな人だったんだ…!」って驚いたり、その時知ったことから共通点を見つけて、ごあいさつさせていただいたり、という機会もありました。
これも自由でユルい 関門カイギ ならではのやり方なんですよね。
スピンオフ的に、1分間自己紹介をメインとしたイベントだってできそうな雰囲気もしています。
発表者・参加者の「自分」を受信
ゲストトークだけではなく、1分間自己紹介も加わったことで、関門カイギでは、発表者3名だけではなく、スタッフを含めた参加者全員について知ることができます。
先ほど表現したとおり、「個性」を一段超えた、参加者それぞれの「自分」に触れると、必ず誰か興味を持ったり、仕事や人生における糧…と言うと大袈裟ですが、毎日の生活をちょっとエキサイティングにするヒントとかスパイスのようなものを得ることができます。
約2時間、人の話を聴きに来て、お菓子と飲み物を食べて帰る…というシンプルな楽しみ方でも1,000円はなかなかリーズナブルなイベントだと思いますが、自身の成長や勉強につながるネタを得ることができれば、積極的に参加すればするほどお得なイベントになります。
関門カイギのこれから
関門エリアを考える
「人づくり、地域づくりを関門で。『可能性』をサポートする」という理念が 関門カイギ にはあり、自由でユルいイベントであるとはいえ、参加した方には「関門エリア」という構想について知っていただきたい、という願いがあります。
下関市民にとっては あまりにも身近で、あまりにも自然に生活圏の一部となっている北九州市ですが、特に関門海峡の対岸にある 門司〜門司港エリア までひっくるめた「関門エリア」でまちづくりを考えたりイベントを打ち出したりしよう、という発想はなかなかイメージしづらいものでした。
まず行政が異なる… 山口県 vs 福岡県、下関市 vs 北九州市 …ので、これまで様々に活動をして来られた方ほど、「イヤ、予算はどっちの…」とか「どっちがイニシアティブをとって…」とか、実現するためのハードルが容易に想像できてしまって、アイデアより先に進まないという現状があったと思います。
「できない理由」を考え始めると、隣接したエリアではあるものの、間に関門海峡という「海」を隔てていることがネックに感じられてしまったり、まちの規模の格差が うまくいかない要因 に思えてしまったりして、一瞬開いたアイデアの扉が ギギギギーッ と閉じていってしまうものです。
関門カイギ は、そこで発言されたアイデアを「自分たち」でやっていこう!という主体ではなく、「これ難しいかもしれないんですけど…」ってわざわざ前置きをする必要もなく、夢みたいなアイデアでも発言できる雰囲気であることが 、その雰囲気を表現する「ユルい」とか「自由」って言葉が持つ最大のニュアンスであると思っています。
若い世代が集まる
だからこそ、これからの 関門カイギ にはもっと若い世代の人たちが集まってくれるといいな…と思います。
若い人たちの中には「いい子症候群」と呼ばれる人たちが結構な割合でいて、良くも悪くも目立つことを嫌い、自身の意見を出すことを極端に避けようとする傾向があるそうです。
とにかく「人と同じ」であることに強くこだわるという彼らに、いきなり何か意見を求めるのは酷であるにしても、関門カイギ で好き放題なことを言ってる大人がいて、それでも全く否定されず、みんなが興味を持って面白がって聴いているという環境を見せてあげたいな…と思うのです。
「指示待ち人間」という言葉では足りないくらいに消極的な いい子症候群の若者たち は、関門カイギの雰囲気に「こういう世界があるんだ…」という衝撃を受けるかもしれません。
もしかしたら「生理的にムリ」と、一発で拒絶反応を引き起こす人もいるかもしれませんが、中にはきっと、新たな刺激にちょっとだけワクワクしてくれる人もいると思います。
そういう人たちが、なんとなく面白かったから…と次回、また次回と繰り返し参加してくれているうちに、少しずつ発言できるようになると最高です。
人とのつながりを面白いと感じてくれて、自身が住んでいるまちを 捨てたモンじゃないな と思ってくれて、「自分には何ができるかな」とチラッとでも考えてくれたら、関門カイギ、大・成・功ォ〜です。
なにかがはじまる
関門カイギでは、単純に人と人とのつながりができました、というところをゴールとはしていません。もちろん、つながりができることは目的のひとつではあるのですが、もう一段階うえの、なにか新しい取り組みにつながるとか、既存のイベントや事業の拡大につながるとか、関門エリアを中心とした、地域の活性化につながる「化学反応」的な効果こそが真の目的であると言えます。
今はまだ、手探りでいろいろ手を変え品を変え様々な取り組みをしている段階ですが、すでに運営サイドでは どんどん新しいつながりが生まれていて、まさに化学反応が起こる直前、たくさんのエネルギーが集まってきて渦巻いていて、そこに雷が落ちるのか、はたまたギュイーンと圧縮されてドカーンと爆発するのか…全く新しいなにかが生まれようとしているところです。
皆さんもぜひ、関門カイギに参加して、その瞬間を一緒に見届けましょう!